皆さん、「デジモンユニバース アプリモンスターズ(以下、アプモン)」も残すところいよいよ最終話のみとなりました。今週も「前回意味深にアイコンタクトをしていたハルとガイアモンが実は無策だった」「オフモンは自覚があったけれどとりあえず命令に従って仲間を殴っていた」「リヴァイアサンへの対抗策は自分達で見つけるのではなくおじいちゃんに教えてもらう」と、これまでの積み重ねの無さが見事に出た素晴らしい回でしたね。その後も、ハル達が「リヴァイアサンはドライヴァーが神アプモンへ合体させるのを待っていた」なんて話をしていましたが、極アプモンになるための合体相手は自分達が合体素材である事に最初から気づいていたし、神アプモンへの合体条件はレイがネットの何処かからハッキングして手に入れてきた(=知っている人がいる)はずなので全く無意味な描写でした。作品そのものにツッコミどころを作って視聴者を楽しませる、面白いアニメだと思います
 さて、今回はそんな面白神アニメ・アプモンの感想を、最終回を見ずにして早くもまとめたいと思います。え? なぜ一週待たなかったかって? 此処から一週待っただけで面白くなるわけがないでしょ? あと一週で面白く出来るスタッフが此処まで酷いアニメを作るわけがないんだから、よく考えてから喋ってください。
 あ、ちなみにこれ、他人に読んでもらうのを殆ど考えていない愚痴です。読む方は心してかかってくださいね。
■破綻したストーリー。計画性のない展開。成長しないキャラクター
 はじめに、本作のストーリーについて述べたいと思います。アプモンの展開として描かれていたのは「凶悪なラスボス人工知能・リヴァイアサンが悪さをしようとしている。それを止められるのは、人工知能・ミネルヴァによって選ばれたアプリドライヴァー達だけ。立ち上がれ、新海ハル!」といった感じのお話です。ですが、作中においてこのメインストーリーは破綻しています。
 この問題の根底は、新海ハルが自分から動き出さないことにあります。アプモンの基本的な1話の構成として「ウィルス化したアプモンが暴れる→街で被害が起きる→ハル達が駆けつけて相手を倒す(ウィルスを浄化する)→めでたしめでたし」というのが定番の形式となっています。これに関して、作品前半においては当然となる展開方法でした。ミネルヴァに選ばれたハルという少年はアプモンの事を当然知りません。彼らが戦う動機は「世界が大変なので救わないといけない」という抽象的なものであり、名前こそ挙がっているもののリヴァイアサンというラスボスが何処にいるのか、どうすれば会えるのかの知識を持っていないため、事件に対して受け身になってしまうのです。
 ですが、当然これは物語が展開していくうちに解決されるのが普通です。というより、アプモン内でも解決の兆しはありました。にも関わらず、それを展開で否定してしまう自体が多発します。以下、いくつか例を挙げてみましょう。
 たとえば、ディープウェブに向かうという目的ができ、セブンコードアプモンを集め始めた時。しかしこれは描き方が非常に良くないもので、ハル達どころか、セブンコードアプモン自身も「自分がその鍵である」という自覚がないため探す手段がない。事件を受け身で解決するしかないままです。
 たとえば、セブンコードが集まってディープウェブに乗り出した時。此処で何を思ったか、ハル達は「今はまだ(実力が足りないので)駄目だ」と引き返してしまい、その後リヴァイアサンを探す目的でディープウェブに行くことはありませんでした
 たとえば、極アプモンであるグローブモンに進化するため、タイムモンの試練を受けた時。ハルはタイムモンから、大切なことは何か考えるように宿題を残されます。ですが、その後ハルは2話ほど「試練に一切触れない日常」を過ごすのです。そして、結局ハル自身は答えを見つけるシーンがないまま、ピンチになったのでなし崩し的にタイムモンがアプ合体を許可します。
 たとえば、登場キャラの一人である桂レイの弟、桂はじめが敵に捕まっていると判明した時。この際も、ハル達は事もあろうに平穏な日常を過ごします。それも数話に渡ってレイとはじめの事に関して一切触れる事なく展開し、ハルが「レイ君が心配だな」と言ったのははじめの居場所が分かった回でした。
 アプモンはこうした展開と否定を自ら繰り返し、作品としての質を低めてきました。一貫性というものを感じないこのストーリーは、結局最終回1話前にして、未だ「視聴者(=子ども達)に何を伝えたいお話なのか」が分からない、メッセージ性のない虚無アニメを生み出してしまったのです。
 もちろん、要所要所でキャラクターの成長を促す回もありました。そこが視聴者への教訓となっている面もあるかと思います。花嵐エリがアイドルのトップを目指してひた走る回は、子ども達に諦めない心を教えることが出来たかもしれません。飛鳥虎次郎がアプチューバーとして活躍するお話には、人を笑顔にすることの難しさを感じさせることがあったかもしれません。ですが、それは結局本筋では消化されない、言ってしまえばオマケであり、結局アプモンという作品が何を思って作られたのか分からないまま、作品は終わりを迎えようとしています。

■練りこまれていない設定と解釈。2045年とは“いつ”なのか
 シナリオが貧しいボキャブラリから作られたメッセージ性のないアニメである事は説明したものの、アプモンという作品はそれ以上に根本の問題を抱えています。それは「設定の練りこみの甘さ」です。これは作品そのものに勢いがあれば目を瞑ることも出来る話なのですが、前述の通り作品は失速の果てに二年目を待たず撤退することが決まっているため、此処にもメスを入れなければなりません。
 まず、根本として「アプリモンスター」とは何なのかというものがあります。アプリから生まれた生命体、というのは設定上分かりますが、そこも含めて作中では「何も説明していない」のです。
 例えば先輩であるデジモンは、ネットワーク上で独自進化したウィルスが生命体の姿を模したものです。恐竜の姿をしている者は恐竜のデータから生まれたから、天使の姿をしている者は天使のデータから生まれたのでその姿をしているわけですね。彼らは生存本能から戦いを生業としており、そのために必殺技など相手を攻撃する手段を持ち合わせています。
 ですが、アプモンは「アプリが進化して生命体になった」という以上の説明がありません。彼らは普段何処に住んでいるのか? 何故必殺技を持ち、何故戦うのか? 同一個体は存在するのか? そうした基本的な生命としての情報も、間接的にしか明かされていないのです。
 そして、この問題は作品の描写として致命的なミスを産み落としていきます。作品の序盤で登場するRPGアプリのロープレモンは、数年前にサービスが終了した事からくる人間への恨みをウィルスに漬け込まれて暴走します。これは終了したアプリのアプモンも何処かで生きている事を示唆する重要な生命描写です。ところが、物語中盤で登場するグルメアプリのペロリモン・マリペロは「近々サービス終了して消えてしまう」と語っています。これは終了したアプリのアプモンは消えてしまうという事に明確に触れた瞬間でした。両者は同一の作品であり、この程度の設定も刷り合わせていない事が分かります。
 また、ロープレモンにはロープレモンだけが集まった「学校」の描写があります。ペロリモンにも通常種やマリペロのような変わり者まで、複数の個体がいることが分かります。…が、物語の進行中で同一種が複数出てくる展開は殆どありません。検索アプリのガッチモンが複数いる可能性もあるのですが、そこに触れていないため「生物としての種が存在するのか否か」が実に不明瞭です。
 さらに、アプモン達が現実世界でその身を保つための「アプモンチップ」にも設定の矛盾は垂れ流されます。敵を倒してチップにすると、灰色の“非アクティブ化チップ”へと変換されます。ですが、これがアクティブ化される条件は不明です。作中では突然使えるようになったり、あげく終盤でハルが「非アクティブ化のカリスモンとグローブモンをアプ合体してしまった」ことで「使えないという認識自体が間違い」である可能性すら出てきました。当然、あと1話で説明はしてもらえないでしょう。ハルは他のアプモンを使うことすらありませんから
 また、最終盤にして奇妙な描写を生み出します。リヴァイアサンに取り込まれた神アプモンたちから「ガッチモンたちが分離して飛び出してくる」のです。神アプモンの体はそのままで、です。合体後の体を維持するのにガッチモンたちは必要ないのでしょうか? というかナビモンやタイムモンといった合体メンバーたちの意識は? 全てが謎ですし、恐らく何も考えてないのでしょう
 設定という意味では、時代背景もそうです。作品冒頭には、毎週「2045年。人類の知能を、人工知能が越える」という語りが挿入されます。これは現実にある問題で、このまま人工知能が進化し続ければ2045年に技術的特異点(シンギュラリティ)に到達するとされているものです。ですが、この語りに反してアプモンは一度も「今がいつか」を描写していません。おかげで視聴者の中にも「舞台は2045年だと思っていた」なんて人がいるのではないでしょうか。作中に時代設定があるのか、あるとすれば何故描写しないのか、そして描写しないのに何故2045年を推してくるのか。全く意味が分かりません。意味はないのかもしれません。

■商業的観点からの失敗と、予想できたはずの問題
 作品的失態を数多く見せつけてきたアプモンですが、問題はそれに留まりません。今度は商業的失敗について触れていきましょう。
 アプモンは、プロジェクト発表時からクロスメディア展開を推していました。具体的には「東映アニメーションによるアニメ」「集英社によるコミカライズが2作品」「バンダイナムコエンターテインメントによるゲーム」「バンダイによる玩具とカードゲーム、データカードダス」が主だったプロジェクトです。二年目が決まらなかったので察するところではありますが、どの作品も商売として成功せず、各社の決算説明時に名前も挙がらない状態に陥っています。
 アニメの問題点指摘は前述の通りですが、コミカライズ作品も大きく被害を被りました。漫画はVジャンプによる本編と、最強ジャンプによるアプモン学園という作品がありますが、前者はアニメを圧縮したものでひと月早く風呂敷を畳まれてしまい、単行本としては2巻分のみとなります。後者に至ってはデジモンの連載漫画としては初の未単行本化作品となってしまい、正直憤りすら覚える結果です。両者とも内容は決して悪くないので、後者の単行本も含めて何とか救済してほしいところです。
 次にゲーム。こちらはデジモンゲームとしてはかなり優秀な出来の作品です。沢山のアプモンをコストの限り集めた「デッキ」を駆使して対戦する、カードゲームのような構成で、全員にアプリ特有の固有スキルが存在していたり、非常に個性があります。UI(操作デザイン)に若干の難がありますが、そこを許容しても良いぐらいバトルシステムが洗練されていた事と、シナリオとしてもアニメよりよほど正攻法で全うなモノです。いや、アニメが特別支離滅裂なだけで、普通はこうなるはずなのですが…。なお、売上は9000本程度で絶望的な数字です。そしてこの作品、最初から見限られていたのか定番なはずの集英社攻略本が発売されないという珍事を巻き起こして消えていきました。
 そして、バンダイの展開。合体出来ない合体玩具という生まれた事を後悔するアプリアライズアクションなるフィギュアが発売され、タイムモンなど意味不明なメンツで消費者と店舗を混乱させていきます。アプリドライヴアプリドライヴDUOも、それまでのデジヴァイス系玩具に笑われるレベルの遊びしか収録していない音の出るゴミとしてその命を捧げ、店舗の売れ残り棚を盛り上げます。メイン商材であったはずのアプモンチップは頑張ってラインナップを揃えましたが、アニメ本編がチップを使うことを諦めたため宣伝後押しも起きず、無残に散っていきました。
 カードゲームデータカードダスに関しては詳しくないのですが、前者の問題点はまとめて下さっているサイトがあるのでご参照下さい(丸投げ)。データカードダスは一応現在も稼動していますが、これは使用しているフラットパネル筐体を次期アニメであるブラックローバーの筐体として流用するためであり、残念ながらアプモンの功績ではないようです。
 …と、此処まで書くだけで見事な戦歴ですね! 3DSのゲームやカードゲームの大会はついに一度も行われることなく、表立って顔出ししたイベントは昨年末のジャンプフェスタぐらいでした。これでは、せっかく作られたガッチモンの着ぐるみも浮かばれません。ま、浮かべる気がある売り方には見えなかったので必然ですね

■まとめ
 まだまだ語り足りませんが、アプモンの悪いところを書き連ねたらそれこそ4クールアニメが作れるレベルなので、私は此処までにしたいと思います。
 こんな最後の最後でフォローしてどうなるという物でもありませんが、アプモンの功績として素晴らしいOPがあります。前期の「DIVE!!」、後期の「ガッチェン!」共に少年漫画らしい熱く元気の出る楽曲です。どちらもアプモンという作品へのリスペクトが伺え、これらは拝聴をオススメします。
 さあ、いよいよ最終回。泣いても笑ってもこれで最後です。今後もデジモンは「デジモンアドベンチャー tri.」や「デジモンストーリー サイバースルゥース ハッカーズメモリー」など次々に展開されていきます。デジモンテイマーズのBlu-ray BOXや、近い時期だとカードゲーム・バトルスピリッツとのコラボで大会なども盛り上がりそうです。アプモンの事はぶっ飛ばして、取り戻せデジモンユニバース!